OUR STORY プロモーションのエキスパートが揃うアロウズ
vol.2 仕掛けを生み出す苦悩 | クリエイティブの可能性
Art Director守屋 方雄
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中村 達也Business Producer
Promotion
Expert Team【アロウズ】
クライアントの思いを形にし「少し先の未来を見せる」クリエイティブの可能性。
プロモーション領域におけるビジネスプロデューサーの中村達也氏とアートディレクターの守屋方雄氏による今回の対談のテーマは、「仕掛ける苦悩、生み出す苦悩」と「クリエィティブの可能性」。
30代から50代にかけて年齢に応じて仕事への向き合い方やポジションが変わってきたと語る人生の先輩・中村氏に対し、まさに40代に入ったところで自身のクリエイティブの見え方に思い悩むこともあるという守屋氏からたくさんの質問が飛び出しました。
一方で、自身のクリエイティブ感覚を鈍らせないためには若い世代との対話が一番重要だと話す中村氏は、守屋氏との対談の中で「AIがクリエイティブに与える可能性」について新たな視点を発見した模様。
ともに広告代理店出身という共通点がありながら異なるキャリアを歩んできたお2人に、日々仕事する上での苦悩から、これからのクリエィティブに期待することに至るまで、幅広くお話いただきました。
クラアントが気づいていない課題や悩みを引き出せるように、まずは“よく聞く”ことが大切です。そうして引き出した本音やコトバから、新たな気づきや提案につなげることで思いがけないアイデアやゴールが見えてきます。
プロモーションを仕掛ける上での制約が、提案の質を上げる。
守屋:
プロモーションを仕掛ける際には、制約がつきものですよね。例えば、予算であったりスケジュールであったり。私の場合はクライアントの業種の幅が広くて、美容業界から教育業界までさまざまですが、「予算内でクライアントの要望を最大限に実現するためにはどうすべきか」というところにいつも悩みながらやっています。中村さんがプロモーションで携わってきたメディカルの分野は予算以外にもさまざまな制約が多いと思うのですが、どういった工夫をされていますか?
中村:
とにかく、クライアントから要望や情報をたくさん引き出すように心がけていますね。「どういうことをやりたいか、プロモーションの結果、どういう効果を得たいか」を徹底的にヒアリングします。そこに予算の問題が出てくるのであれば、例えば、通常は展示会を開くところを、広報活動に絞ってみませんかというように方向性を変えるアドバイスをします。
守屋:
なるほど。ちょっと逆説的になってしまうのですが、制約があるからこそ提案の質が上がるという側面はあるかもしれません。クライアントの現状を客観的に見て、この状況であればこういったプロモーションの仕方がいいだろうというのを絞り込むことができる。中村さんがおっしゃるように、結局業種業態にかかわらず、クライアントとの対話からいかに要望や情報を引き出すかというところが難しいところであり、おもしろいところですよね。
中村:
そうですね。あとは、プロモーションのタイミングから仕掛け方を考えることもあります。例えば、スタートアップの企業であればある意味なんでもできるので、プロモーションは非常にしやすいですよね。これが10周年だったり、会社の年次が上がったりしてくると、今までの会社のイメージを考えてあまり突拍子もないことはできないなというように、周りの目が気になってくることもある。ただ、そこを突破するというか、クライアントからすると「こんなことをやったら、まずいんじゃないか?」ということも、外から見ると案外大したことのないこともあるので(笑)。その思い込みを外してあげるというところも、我々の仕事には必要だと思いますね。
制約をバネにし、クライアントの想像以上をデザインで具体化することで少しずつ結果につながっていくと実感しています。大切なのは継続的な意思を共に育み、その先の顧客や社会へと広げ、続けていくことです。
クリエイティブの本質は、クライアントの中にあるものを引き出し「見える化」すること
守屋:
確かにそうですね。仕掛ける苦悩ともうひとつ、生み出す苦悩という部分ではどうですか?私はアートディレクターという職業柄、けっこう誤解されやすいのが、アーティストみたいに感覚的にかっこいいものとか、かわいいものを作っているって見られやすいんですよ(笑)。でも、実際はアーティスティックなものを作ることではなくて、クライアントの中にあるものを「見える化」することなので、ゼロからなにかを生み出す苦悩というよりは、いかにクライアントから引き出すかという部分の苦悩が大きい気がしますね。
中村:
生み出す苦悩というと、僕の場合は年齢的なところがあるかもしれない(笑)。自分が考えていることが、どうしても時代遅れになってきてしまっているなという感覚があるんですよ。だから、一緒に仕事をする20代、30代の若手に考えてもらうようにはしていて、自分はけっこうフリーな状態でいながら常にアンテナを張って、「この案件であれば、あの人とこの人の組み合わせがいいだろうな」とマッチングさせるなどしています。
守屋:
でも逆に言うと、私たちは中村さんが経験してきたことや積み重ねてこられた知識を知らないわけなので。そういう部分で導いてくださる役割ってすごく大事だし、ありがたいなと思います。「生み出す」というとまったく新しいものを作り出すというイメージがありますが、結局のところ、中村さんがおっしゃるように組み合わせの問題なんですよね。料理と同じで、具材と調味料があってそれをどう組み合わせておいしいものを作るかっていうような。プロモーションも、写真や文章、絵や色を組み合わせて生み出すというところだと、まだまだ無限にできることがあるなと思っています。
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コピーひとつで人生が変わる。アナログとデジタルの融合で魅せるクリエイティブの可能性
守屋:
中村さんは、現在プロデューサーという立場でお仕事をされる場面が多いと思いますが、アロウズにいるさまざまなクリエイターの中で、どういった人材と一緒に仕事をしたいと思いますか?
中村:
人柄として謙虚な人がいいなというのはありつつ(笑)、貪欲な人ですかね。いい意味で止まらない人というか、やっぱりクリエイターって年を取らないな、と。僕が新卒で入った会社の社長が昨年お亡くなりになったのですが、亡くなる直前までご自身のラジオ番組に出演されていて。数々のすばらしいコピーを残してきた方で、いくつになっても言葉ひとつで多くの人に夢を与えてきたんだなと、改めて感銘を受けました。今はこれだけデジタルな時代になってきていますけど、コピーの言葉ひとつでかっこいいクリエイティブができる人と一緒に仕事をしていきたいですね。このあたりは守屋さんが得意なところだと思うんですけど、クライアントの思いをうまく言語化した装飾やデザインが大事になってくるかなと思います。
守屋:
ありがとうございます。単純に見た目のきれいさ、かっこよさはもちろんですけど、クライアントが表現したいことがちゃんと見えているか、相手に伝わるか。それが、クリエイティブの肝になりますよね。
中村:
そうですよね。クリエイティブの可能性というとけっこう大きな話になりますが、守屋さんはどう捉えていますか?
守屋:
個人的には、いかにして感情を「見える化」するかというところですね。例えば、ロゴマークひとつをとっても、少なからずクライアントの中にどういうものにしたいというのがあると思うんです。その「なんとなくあるもの」を具体的に見せてあげるというのは、ちょっとカッコつけた言い方になりますけど、「少し先の未来を見える化する」ということになるのかなと思っていて。それができるのがクリエイティブの可能性であり、おもしろいところだなと思います。中村さんはいかがですか?
中村:
僕はやっぱり昭和の世代の人間なので(笑)。コピーひとつで人生が変わるというところは、信じていますね。いろいろな先進技術とかも出てきていますけど、アナログというか、言葉とか今まで使ってきたものをきちんとバージョンアップして使っていく時代になっていくと思っています。ちょっと古臭い考えかもしれないですけど、「一緒に仕事をする仲間のアイデアや個性の組み合わせで、AIにはできないような世界観を作っていきたいな」と。
守屋:
AIの話でいうと、僕はもちろんAIに負けないという気持ちもありつつ、逆にAIと一緒に何かを作ってみたいなという興味もあるんですよね。今AIというと、誰でもアクセスできる知識の集合体みたいなものじゃないですか。妄想レベルなんですけど、個としてのAIを自分で育てて、そのAIと一緒に何かクリエイティブなものを作れたら、おもしろいんじゃないかと思っています。AIと競争しつつ、パートナー関係を築けるようになって、よりクリエイティブが見せる未来が広がると思うとワクワクしますね。
中村:
確かにそれはおもしろい。今は例えば、AIを用いたターゲティング広告とかってかなり中途半端な状態ですけど、AIがもっとしなやかに個人に寄り添うように進化していくとかね。やっぱりこういう発見は、自分が最前線にいて若手と話していないと得られないかもしれない。デジタルなやり方やアナログなやり方、若いアイデアとベテランの経験をいろいろ組み合わせることで、クリエイティブの幅はまだまだ広がっていきますね。
中村 達也 / Tatsuya Nakamura
ビジネスプロデューサー (株式会社ステラ 取締役営業部長)。広告代理店を経て展示会業界に35年以上従事。営業として半導体・ IT・製薬・医療機器などジャンルを問わないブース 案件を企画~運営 実績多数。そのほか、企業・製品ブランディング実績も多数。また、 国内だけではなく、世界各国の施エネットワークを持つ。各分野の プロフェッショナルでチームを組み、安心で万全の体制で企画~本番 ~アフターフォローまでサポートをさせていただきます。
守屋 方雄 / Masao Moriya
アートディレクター (あめとつち株式会社 取締役) 。東京の広告代理店やデザインプロダクションを経験し、iQOSのブランド立ち上げを初め、様々な企業のロゴ(CI・VI)やブランドのデザインに携わる。アロウズではロゴやグラフィック案件を多く手がける。大企業はもちろんスタートアップまで、経営層と対話しながらブランドを構築していくことを得意とし、それぞれのニーズに合わせた人の琴線への訴え方を 肌感で感じてミエル化することが大事だと考えています。